グローバルビジネスの最前線で戦い続けるためには、強靭なメンタルやスキル以前に、物理的な「身体の動作環境」を最適化しておく必要がある。私たちは往々にして、PCやスマートフォンのOSアップデートには敏感だが、自分自身の血肉を作る「栄養基準」の更新には無頓着になりがちだ。
2025年度から適用される最新の「日本人の食事摂取基準」に基づき、40代を迎えた私が実践している合理的な食事戦略を共有したい。
2025年、栄養の「基準」がアップデートされた真意
厚生労働省が5年ごとに策定するこの基準は、単なる栄養不足を防ぐための指標ではない。最新の2025年版では、生活習慣病の重症化予防に加え、高齢化社会を見据えた「フレイル(虚弱)」対策、さらには若年層からの健康投資という側面が一段と強化されている。
我々ビジネスパーソンにとって注目すべきは、この基準が「個人のパフォーマンスを最大化するための設計図」として機能する点だ。特に40代以降、代謝や消化能力が変化する中で、従来の食習慣を「OSのバージョンアップ」なしに継続することは、システムエラー(体調不良や判断力低下)を招くリスクとなる。
「食物繊維」という名の防壁:成熟度をハックする技術
今回の改訂で、食物繊維の目標量はさらに引き上げられた。18〜64歳の男性で「1日22g以上」、女性で「18g以上」が設定されている。しかし、現代の平均的な日本人の摂取量は14〜15g程度に留まっており、この「7〜8gのギャップ」をどう埋めるかが生存戦略の鍵となる。
私は40代に入り、腸内環境の停滞(便秘)という課題に直面した。そこで導入したのが「バナナと納豆」を軸にしたデイリールーティンだが、ここには科学的な裏付けに基づく「ハック」が必要だった。
グリーンバナナの科学的優位性
当初、私は熟した黄色いバナナを食べていたが、目立った効果は得られなかった。詳細にファクトチェックを行ったところ、バナナの「成熟度」によって成分が劇的に変化することが判明した。
- レジスタントスターチ(難消化性デンプン): まだ青みが残る「グリーンバナナ」には、黄色く熟したバナナの数倍のレジスタントスターチが含まれる。
- ダブルの働き: これは小腸で吸収されずに大腸まで届き、食物繊維と同様に善玉菌の餌となるだけでなく、短鎖脂肪酸を生成して腸内環境を劇的に改善する性質を持つ。
この知見に基づき、あえて「あおっぽいバナナ」を毎日2本選んで摂取するようにした結果、停滞していた状況は明確に改善へと向かった。これに、水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含み、かつ発酵食品である「納豆(毎日1箱)」を組み合わせる。この「プレバイオティクス(餌)」と「プロバイオティクス(菌)」の同時摂取こそが、私の腸内OSを安定稼働させるコアシステムだ。
塩分管理:日常の「ベースライン」をシステムで下げる
塩分(ナトリウム)の過剰摂取は、高血圧を招き、血管に恒常的なダメージを与える。2025年基準でも、男性7.5g未満/日、女性6.5g未満/日という厳しい数値が維持された。外食のラーメン一杯で容易に1日の上限を超えるこの環境下で、意志力だけで戦うのは非合理的だ。
減塩醤油という低負荷なソリューション
私は日常の自炊において、徹底して「減塩醤油」を選択している。 「塩辛いものが食べたい」という本能的な欲求を完全に抑圧するのはストレスが大きく、長続きしない。重要なのは、日常のベースライン(基礎値)をシステムとして下げておくことで、会食やたまの贅沢という「スパイク(突発的な負荷)」を許容できる余白を常に確保しておくことだ。
道具(醤油)を変えるだけで、思考のリソースを割かずに基準をクリアする。これこそが、消耗しないための合理的なアプローチである。
結論:自分を「メンテナンス」するという投資
40代以降の身体は、放っておけば劣化する。しかし、最新の公的エビデンス(食事摂取基準2025)を地図とし、自分の体感(バナナの色による変化など)をコンパスとして微調整を繰り返せば、その劣化速度は大幅に抑制できる。
自分を「メンテナンス」することは、コストではない。長期的な「現場復帰力」と「判断精度」を維持するための、最も確実な投資である。
玄水
コメント