決済のOSを入れ替える ―― タイのスタバで突きつけられた「現金の終焉」

数ヶ月ぶりに訪れた、いつものバンコクのスターバックス。そこで私は、自分の「常識」がもはや旧型であることを思い知らされた。 レジ横に掲げられたのは「Cashless Only」のサイン。現金はもはや、ここでは通貨としての機能を失っていた。

目次

1. 抵抗感という「隠れたコスト」

周囲の客は、当然のようにスマートフォンで二次元コードをスキャンしていく。中国のアリペイ(Alipay)と深く連携したこのシステムは、タイの決済インフラを完全に塗り替えていた。

正直に言えば、私はこれまでこの手の決済に抵抗があった。セキュリティ、個人情報の流出。それらを懸念して「現金」という旧世代の安全策にしがみついていた。 しかし、レジ前で立ち尽くす数秒間に悟った。私の「抵抗感」は、今や「実務上の致命的な停滞」というコストに変わっている。

2. 賢者はリスクを「拒否」せず「制御」する

同行した友人のアドバイスが、私の背中を押した。 「リスクが怖いなら、上限を決めればいい。私は3,000THB(約1.5万円)を上限に設定している。万が一があっても、被害はその範囲内。足りなければその場でリロードすればいいだけだ」

リスクをゼロにするために利便性を捨てるのは、思考停止に等しい。 「許容できるリスクの範囲内で、システムの恩恵を最大化する」 これこそが、玄水ブログで繰り返し述べている「生存戦略」の核心だ。

3. 次なる装備:Wise(ワイズ)の活用

日本に帰国後、直ちに取り掛かるのは、海外ビジネスにおける決済基盤の再構築だ。 その筆頭候補が「Wise(ワイズ)」である。

日本でも利用者が急増しているこのサービスは、従来の銀行送金やクレジットカードのような「不透明な隠れ手数料(為替スプレッド)」を徹底的に排除している。

  • マルチカレンシー口座: 複数の通貨を、実際の為替レートで保有できる。
  • デビットカードの発行: 海外のATMや店頭で、現地通貨のまま決済が可能。
  • リスクコントロール: アプリ上で即座にカードの凍結や利用制限ができる。

今回のタイでの経験から、こうした「透明性と機動力」を兼ね備えたツールを装備することは、もはや個人の趣味ではなく、グローバルな戦場に立つための「最低条件」であると確信した。

4. 変化を拒むか、OSを書き換えるか

世界は、私たちが慣れ親しんだリズムを無視して加速している。 現金という「古い守り」に固執し、不便を受け入れ続けるのか。それとも、適切なリスク管理のもとに最新の武器を手に取るのか。

私は、帰国と同時に自分のOSを書き換える。 かつての楽園が消滅したのなら、新しいルールが支配する世界で、よりスマートに生き残るまでだ。


玄水


コメント

コメントする

目次