本記事は、外資系中小企業で海外営業を続けるビジネスパーソン向けに、困難な状況で心を支える「老子の教え」を紹介します。軍事クーデターやコロナ禍など極限状況での実体験をもとに、嵐のような困難を乗り越える心構えと行動戦略を解説。海外出張やトラブルに直面する営業マン必読の生存戦略です。
仕事は、うまくいかないことの連続です。
特に私が身を置く中小の外資系製造業は、組織がコンパクトである分、いざという時のサポートは驚くほど手薄です。
本社や海外拠点との時差、言語の壁、そして現場の孤独。
一人で東南アジアの拠点を背負って戦う中、予期せぬトラブルに襲われるたび、私は自分にこう言い聞かせてきました。
「私が最後の砦である」という覚悟
トラブルの渦中、私は二つの相反する感情で自分を鼓舞します。
一つは、
「私ほどの経験者が対処してダメなら、この会社としてはもう仕方ないだろう」
という、一種の開き直りに似た余裕。
そしてもう一つは、
「いや、私が最後の砦だ。何としてもここで食い止める」
という、プロとしての矜持です。
しかし、自分の努力だけではどうにもならない
**「巨大な嵐」**が、人生には確かに存在します。
2014年:軍事クーデターの渦中で
2014年、ある東南アジアの国への出張中に、私は軍事クーデターに遭遇しました。
街には夜間外出禁止令が出され、夜10時以降の外出は禁止。
現地代理店と連携し、事前に安全なルートを調べ上げ、許可されたわずかな時間を使って顧客訪問をこなす日々。
「事態はどこまで深刻化するのか」
「果たして日本に無事帰れるのか」
底知れぬ不安の中にいた私を支えたのが、老子のこの言葉でした。
「飄風(ひょうふう)は朝を終えず、驟雨(しゅうう)は日を終えず」
激しい突風(飄風)は一朝は続かない。
激しい豪雨(驟雨)も一日中降り続くことはない。
天地の激しい現象でさえ長くは続かないのだから、
人間界の困難だって、いつまでも続くはずがない。
2020年:人影の消えた空港で
この言葉の真実を、私はコロナ禍で再び噛み締めることになります。
世界が止まった2020年以降も、私は必要に迫られ、何度も海外出張を繰り返しました。
人影が消えた空港ロビー。
乗客が数えるほどしかいない機内。
日本、韓国、フランス──
各国で指定病院を回り、何度もPCR検査を受けました。
当時は、
「もし海外で陽性になれば、治るまで日本への入国は禁止」
という極限の状況。
異国の地で、もし今感染したらどうなるのか。
その重圧に押し潰されそうになるたび、私は心の中で、
「飄風は朝を終えず……」
と暗唱し、静かに時が過ぎるのを待ちました。
嵐は必ず過ぎ去る
私は22年のキャリアの中で、この言葉が真理であることを身をもって知りました。
- 2011年:震災後の被災地における顧客復旧支援
- 2014年:出張先の国での軍事クーデター
- 2020年:コロナ禍の孤独な海外出張
個人の力では抗いようのない混乱の中、
私はただこの教えを信じ、目の前の困難をやり過ごしてきました。
これまで生き残ってこられたのは、お客様の支援や幸運もあったでしょう。
しかし最も重要だったのは、
「どんな嵐も、いつかは止む」
と信じて、やるべきことを淡々と続けたことです。
嵐の中に立つあなたへ
もし今、あなたが仕事の困難で押し潰されそうになっているなら、
この言葉を思い出してください。
どんなに激しい雨も、永遠に降り続くことはありません。
あなたが「最後の砦」として、そこに立ち続けてさえいれば、
必ず雨は上がり、次の一手が見えてくるはずです。
雨が上がったとき、あなたの前には新しい道が広がっているでしょう。
もし、その道を自力で探すのが難しいと感じるなら、
外の世界に「確かな目」を持つパートナーを置いておくのも、一つの知恵です。
静かな備えという選択肢
リクルートエージェントで、次の戦場を静かに探しておく。
自分の市場価値を客観的に知ることは、
嵐の中で自分を保つための**「静かな抑止力」**になります。
玄水
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