なぜ私は「成果が出た直後」に語らないのか | 嫉妬を回避し、徳を積むための沈黙の戦略

外資22年でたどり着いた「静かな生存戦略」(4)

仕事の醍醐味は、困難を越え、目に見える成果を手にすることにある。
大きな案件をまとめた直後、高揚感に任せてその功績を語りたくなる気持ちは、痛いほど理解できる。

しかし私は、あえて沈黙を選ぶ。
成果が出た瞬間こそ、最も口を慎む。

それは謙遜でも、精神論でもない。
外資系という実力主義の荒波の中で、
自分の成果と立場を長期的に守り抜くための、極めて合理的な生存戦略である。


目次

1. 嫉妬を回避し、成果を守る

「事以密成」の教え

中国古典『韓非子』に、
「事以密成、語以泄敗(事は密なるを以て成り、語は漏らすを以て敗る)」
という言葉がある。

物事は密かに進めることで成就し、
語られた瞬間から、崩れ始める。

この教えは、事が成ったにも当てはまる。
組織の中には、必ず自分の成果を面白く思わない人間がいる。

不用意に語れば、
揚げ足を取る材料を与え、
上層部に「別の解釈」を流される余地を生む。

自分から語らないことで評価が多少目減りする可能性はある。
だが私は、その分を
**嫉妬から身を守るための「保険料」**として支払っているにすぎない。


2. 組織の「和」を守るという、冷静な計算

組織の仕事で、
本当に一人で完結する成果など存在しない。

その一方で、人間は誰しも
自己評価が過大になりやすい生き物でもある。

自分では「8割は自分の手柄」だと思っていても、
周囲は「自分たちの支援がなければ成立しなかった」と感じている。

ここで自画自賛を始めれば、
目に見えない反感が静かに蓄積される。

沈黙を守り、功績を周囲に譲る姿勢を見せること。
それは美談ではなく、
次の仕事で協力を引き出すための、極めて実利的な投資である。


3. ベテランの仕事は「成果を出すこと」ではない

キャリアを重ね、
組織の中でベテランと呼ばれる立場になれば、
成果を出すことはもはや「特別」ではない。

それは前提条件だ。

「自分がいなければ回らない」
その覚悟を持つなら、
一つひとつの成果を声高に語る必要はない。

淡々と積み上げる。
淡々と引き受ける。
そして、淡々と次に備える。

定年を迎えるその日まで、
一つでも多くの結果を静かに積み上げること。
それこそが、会社への最大の恩返しだと私は考えている。


結び:語らぬことで、成果は定着する

本当に価値のある成果は、
自分が語らずとも、
やがて数字や事実として組織に浸透していく。

語らないという選択は、
目立たないが、強い。

沈黙の中で次の一手を仕込み、
次の戦いに備える。

この姿勢こそが、
長期にわたって信頼され、
静かに生き残り続けるための、最も確実な戦略だと信じている。


玄水


必要な方だけ、相談について

コメント

コメントする

目次