外資22年でたどり着いた「静かな生存戦略」(2)
年が明けて早々、私のスケジュールは海外出張で埋まる。
多くの日本企業が新年会や挨拶回りに追われ、
外資系企業のマネジメントが予算策定に忙殺されるなか、
私は迷わず飛行機に乗る。
これは単なる「忙しさ」ではない。
1年という戦いを、11月までに終わらせるための戦略だ。
1.「新年」という免罪符を最大限に使う
1月から2月にかけて、東南アジアや東アジアは独特の熱気に包まれる。
西暦の新年と、旧暦の正月(Lunar New Year)が重なる時期だからだ。
どの文化圏でも、「新年」は特別な意味を持つ。
この時期の訪問は、西暦と旧暦、両方の挨拶を一度に済ませられる。
人は新年には、少しだけ心を開く。
普段よりも率直になり、将来の話をしやすくなる。
年頭の訪問は、懐に深く入り込むための最良のタイミングだ。
2.顧客の「鮮度の高い計画」を直接サーチする
この時期に現地へ赴く最大の価値は、
顧客やパートナーの「新しい一年の計画」を、
温度感ごと掴めることにある。
メールやレポートでは分からない、
本音の期待値、微妙な不安、言葉にされない前提条件。
それらを年の初めに把握できるかどうかで、
その後のすべての判断精度が決まる。
3.「勝算」を測るためのテストマーケティング
この1年で売りたいもの、仕掛けたいことを、
私は年頭から顧客に直接ぶつける。
そして、反応を冷静に観察する。
- 反応が良いものには、即座にリソースを集中投下する
- 反応が鈍いものは、深追いせずに設計を修正する
顧客のリアルな要望があるところにだけ、力を注ぐ。
それが、最も勝率の高い戦い方だ。
4.マネジメントという「リスク」を先に回避する
外資系企業では、下半期や決算期が近づくにつれ、
マネジメントは数字を守るために「出張制限」をかけ始める。
理由が正当であっても、
コストカットが最優先の時期に動くのは政治的に不利だ。
不要な摩擦を生み、後で不利益を被ることもある。
だから私は、
予算も裁量もまだ残っている年の前半に、
必要な行動をすべて終わらせておく。
5.11月に「勝利」を確信するために
後半になってから慌てて出張しても、効果は限定的だ。
理想は、前半で徹底的に手を打ち、
バジェットの進捗を一気に押し上げておくこと。
前半で目途が立てば、
下半期はそれまでに撒いた種の「慣性」だけで進む。
焦りは消え、判断は静かになる。
結び|11月のクリスマスを、笑って迎えるために
私の流儀はシンプルだ。
11月には予算達成を確信し、
余裕をもってクリスマスと年末を迎える。
そのために、
誰もがまだ動き出していない1月に、
誰よりも動き、誰よりも多くの種を撒く。
1月の海外出張は、
1年を自分の支配下に置くための投資なのである。
玄水
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