【35年の投資経験から導いた真実】孫子の教えで学ぶ「勝ってから戦う」インデックス投資戦略

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35年の個別株投資が残した「収支ゼロ」という冷徹な現実

日米の個別株に30年以上取り組んできた末に、一つの明確な結論にたどり着きました。

株式市場は、幾何学図形のように予測できるものではありません。

市場は人間の複雑な社会活動や経済活動の集合体であり、規則正しく動くシステムではないからです。過去のチャートの形状に何らかの規則性を見出したとしても、それが未来を正確に再現する保証には一切なりません。

2026年現在、AI半導体関連の銘柄が市場を牽引していますが、真の恩恵を受ける一握りのコア企業と、テーマ性だけで買われる周辺銘柄が混在し、ボラティリティ(価格変動率)は極めて高くなっています。このような環境下で、個人の予測で波に乗り続けることは至難の業です。

事実として、私の35年間にわたる個別株売買のトータルリターンは「収支ゼロ」でした。得られた利益は別の損失で相殺され、残ったのは、企業分析や日々の値動きのチェックに費やした膨大な時間と、精神的な消耗だけです。

『孫子の兵法』が示す「勝兵」と「敗兵」の決定的格差

中国最古の兵法書である『孫子』には、戦いの本質を突いた以下の言葉があります。

勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む

振り返れば、かつての私の投資スタイルは、まさにこの「敗兵」の典型でした。

  • 根拠の薄い予測やテーマ性でまず株を買い、後から株価が上がることを祈る(=先ず戦いて而る後に勝ちを求む)
  • 勝算の不確かな対象に対し、貴重な資金だけでなく、分析や情報収集という時間的リソースを大量に投入する

このアプローチでは、不確実性という外部要因に資産と人生の主導権を委ねることになり、構造的に勝算のない戦いを強いられ続けます。

転機:『ウォール街のランダム・ウォーカー』が突きつけた事実

投資手法を根本から見直す契機となったのは、バートン・マルキールの名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』です。

同書で示されている「プロの機関投資家であっても、長期的に市場平均(インデックス)を上回る成績を残すことは極めて困難である」という統計的事実は、自己流の相場予測がいかに非合理的であるかを証明しています。

この冷徹なデータを受け入れ、個別株で市場に勝とうとする幻想を捨てる決断を下しました。

現在:資産と時間を防衛するインデックス投資戦略

現在、運用資産の約90%を、株式指数(インデックスファンド)、REIT、金(Gold)の積立に振り向けています。NISAやiDeCoといった非課税制度を最大限に活用し、市場全体の成長という「確実性の高い波」にのみ乗る構造を構築しました。

2026年5月時点において、この運用スキームの成果は非常に堅調に推移しています。これはまさに、孫子の言う「先ず勝ちて而る後に戦う」を現代の資産運用に実装した結果です。

「戦う(投資する)」前に確認すべき3つのフィルター

無謀な戦いを避け、勝算のある場所にのみ身を置くために、以下の基準を設けています。

  1. 歴史的・統計的な裏付けがあるか?(単なるブームや予測ではないか)
  2. 低コストで期待値が論理的に高いか?(手数料という確実なマイナス要因を排除できているか)
  3. 運用によって、本業や人生の貴重な時間を浪費していないか?(機会損失の最小化)

一時的な熱狂や、耳障りの良い理論を盲信して市場へ飛び込むことは、資金のみならず、二度と取り戻せない「時間」という最大の資本を毀損します。

まとめ:投資とは「勝てる場所」に静かに身を置くこと

投資の目的は、卓越した技術や分析力で市場をねじ伏せることではありません。構造的に勝てる確率が最も高い場所に、自らを配置することです。

「勝算が論理的に担保されているからこそ、資金を投じる」というシンプルな方針を貫徹することで、資産の防衛はもちろん、日々の情報過多による疲労や判断力の低下を防ぐことができます。

長期投資の真髄は、相場のノイズから距離を置き、合理的かつ静かに戦略を実行し続けることにあります。

玄水


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