「あの時やっておけば」を卒業する | 円安の波に呑まれないための「網を結ぶ」思考法

2022年頃から本格化した歴史的な円安。気がつけば、対米ドルで円の価値は約40%も目減りしました。

「あの時、少しでも円をドルに替えていれば……」 「もっと早く投資を始めていれば……」

ここ数年、同世代のビジネスパーソンからそんな後悔の声を何度も耳にしてきました。ニュースで最高値を更新する株価や為替を見るたびに、自分だけが時代に取り残されてしまったような、焦りと無力感を覚える方も少なくないはずです。

しかし、言うまでもなく私たちは過去へ戻ることはできません。今、私たちが本当にやるべきことは、取り逃がしたチャンスを数えて後悔に時間を費やすことではないはずです。

「なぜ当時、自分は動けなかったのか」を冷静に見つめ直し、これから訪れるさらなる激動のフェーズに向けて、静かに、そして確実に備えを固めること。それが、40代・50代が取るべき「生存戦略」です。

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古典に学ぶ|魚を羨むより、退いて網を編め

中国の歴史書『漢書』に、現代の私たちに深く刺さる言葉があります。

「臨淵羨魚、不如退而結網」 (淵に臨みて魚を羨むは、退いて網を結ぶに如かず)

川辺で魚が跳ねているのを見て、ただ「いいな、欲しいな」と羨ましそうに眺めているくらいなら、さっさと家に帰り、自分の手で魚を獲るための「網」を編み始めなさい——という意味です。

逃した利益を嘆くより、次の機会を確実に掴むためのシステム(網)を作る。この2000年前の鋭い警句は、現在の円安・インフレ局面で立ちすくむ私たちに、そのまま当てはまります。

アジア出張で肌身に感じた「通貨の地殻変動」

現在の日本、そして世界経済は、私たちが過去30年間どっぷりと浸かっていた「デフレ環境」とは明らかに異なるフェーズへと突入しています。

私自身、今年は中国や東南アジアへ何度かビジネスで足を運ぶ機会がありました。そこで容赦なく突きつけられたのは、日本の外で起きているすさまじい変化です。

現地の物価水準の高さ、街ゆく人々の熱量、そして何より**「日本円という通貨の購買力の低下」**。 日本国内にいて、円だけで生活していると気づきにくいですが、世界から見た「円の立ち位置」の変化は、もはや見て見ぬ振りができない危険水域に達していると肌で感じました。

これまでの延長線上のやり方——つまり「円の預金だけを握りしめて真面目に働く」という方法だけで、自分と家族のこれからの生活を守り切れるのか。立ち止まって考える時期に来ています。

今すぐ始める「網を結ぶ」3つの具体策

成功者を羨む時間を、未来への対策を練る時間に変えましょう。私たちが編むべき「網」とは、具体的に以下のような行動です。

1. 資産の一部を外貨建てで持つ

全財産を円で持っていることは、もはや「安全」ではなく「円への一点集中投資」というリスクです。無理のない範囲で、資産の一部を米ドルなどの外貨に分散させる仕組みを作ること。

2. 制度を活用し、世界経済の成長を取り込む

「新NISA」や「iDeCo」といった非課税制度は、国が用意してくれた強力なツールです。全世界株式(オール・カントリー)やS&P500など、世界の成長の恩恵を自動で取り込める積立設定をしておくこと。

3. グローバルな視点で「稼ぐ力」を磨き直す

金融資産だけでなく、自分自身の「人的資本」も再評価が必要です。縮小する国内市場だけでなく、外貨を稼げるスキル、あるいは外資系企業でも通用する専門性を磨き直すこと。

まとめ|網は一晩では完成しない

網は、一晩では完成しません。地道に結び目を作っていく退屈な作業が必要です。 しかし、今日編み始めなければ、明日も、1年後も、一匹の魚も獲ることはできません。

過去を悔やむのは今日で終わりにしましょう。未来のための準備を、今この瞬間から始めるのです。その小さな一歩、その一つの結び目が、数年後のあなたと家族の生活を守る「強力な網」になるはずです。


玄水






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